俺たちの勲章とああ青春

「俺たちの勲章」は日本テレビで、1975年に放映された、全19話の刑事ドラマです。

最近CSで放映されて、当時以来40年ぶり!に観たのですが、いやー、いい!
主演の松田優作さんは、俺と同郷の出身で、実家から歩いてすぐにご親戚かなにかの家があったりして、あまりに身近だと夢が持てないのでファンではなかったのですが、改めて観ると、彼がその後伝説になるのがよく分かります。 

もう一人の主演の中村雅俊は、『われら青春』の主演とその挿入歌『ふれあい』で既に人気スター、松田さんも『太陽にほえろ』で壮絶な伝説的最期を見せて、役者としての存在感は絶大でした。 

その2人がW主演の刑事もので、大ヒットしてもよさそうでしたが、なぜか19話しかなく、さらに2話がカットされて、17話しか放映されずに終わってしまいました。 

1話完結のドラマなのですが、どのエピソードをとっても、ハッピーエンドということはなく、破滅していく犯罪者たちの壮絶な人生が胸に刺さります。
毎回そんな事件に巻き込まれたら、刑事であることの信念が揺らいでしまうことは目に見えています。
一度犯した過ちは決して償えるものではないどころか、どんどんと悪い事態になっていき、ふと、ある瞬間に、戦うことを止めてしまう犯罪者たち。その瞬間、死を覚悟するというか、落ちていく運命に身をゆだねてしまう。
若い2人の刑事は、あくまでも熱い血潮と情熱で悪と戦うわけですが、犯人たちの最後の運命は、自分たちが終止符を打たなくてはいけないわけです。 

これは「俺たちの〇〇」青春ドラマシリーズの第一作目といわれているのですが、この2人の刑事にとって、この青春は過酷すぎます。
刑事なわけですから、善悪の善の方にいながらも、そのような人々の哀しい人生に人としての共感を覚えつつも、最期の銃弾を浴びせることは、彼らには大きすぎます。

 

2人の友情も横浜県警の刑事という地位も、破綻するであろうことは、最初から目に見えているのです。

 

このドラマのオープニングには、吉田拓郎作曲の「ああ青春」のインストルメンタルが流れます。トランザムの演奏ですが、この曲は青春数え歌です。

 

そう書くと、なんだかめちゃ泥臭いですが、当時から今に至るまで、もうとっくに青春時代を通り越しているにもかかわらず、聴くたびに胸がきゅんと熱くなります。

 

イントロのピアノがめちゃいいのです。

 

「ああ青春」はトランザム以外に拓郎自身と中村雅俊がカバーしていましたが、歌そのものの出来は、中村雅俊バージョンが一番好きです。

 

あゝ青春/M-TRAIN
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1つ、1人じゃ淋しすぎる
2人じゃ、息さえも詰まる部屋
3つ、見果てぬ夢にやぶれ
酔いつぶれ夜風と踊る街

眠れぬ夜を数えて
日々は過ぎていく

 作詞は松本隆です。松本隆といえば松田聖子に代表されるアイドルの洗練された歌謡曲が浮かびます。「ああ青春」の同年、松本隆作詞、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」が発売され大ヒットしました。そう思って歌詞をよく見ると、この青春には、どこかに、かすかに都会の香りがします。

 8つやめるさ、抱き合っても
心は遠ざかる、安い宿

 

2番の歌詞のこのフレーズがとてもいいのですが、当時中学生だった俺も、オヤジになった今に至るまでも、このような経験は一度もありません。安い宿だろうがラブホだろうが、わざわざ行って、心が遠ざかって途中で止める・・・なんてことはないのです。最後までやって心が遠ざかることは、まあ結構ありますけどね・・・。

といいつつ、このフレーズに共感を覚えるのは何故だろう?
ああ、分かるなあ~と、思いたいだけなのか。

 

1976年、中学3年生の時、同級生に見事にジャイアンそのまま、しかも柔道部のエースがいました。

こいつが始業式の日から何かと絡んできて、どう見ても勝ち目はなさそうなのでシカトしてましたが、そのうち学校に行くのさえもが嫌になってきて、ある日、自分でもなぜかわからないのですが、意を決して、俺ん家に来ねえ?と呼びました。喧嘩しようと思っていたのに、なぜか自宅に誘った自分に驚いた記憶があります。 

まあ、家ならば暴れないだろうと思ったからでしょうが、戦う気満々だったのに、別に何を話すわけでもなく、お菓子を食ってマンガを読んで帰っていきました。 

なんだ、いいやつじゃん・・・。 

向こうもそう思ったのかもしれません。それからちょくちょく遊びに来るようになったのですが、なんせ、でかくて強いので取り巻きみたいなのがぞろぞろと湧いてきて、クラスの孤独な戦士だった俺に一気に友達が増えたのでした。 

冬休み、俺が勉強を教えるという名目で遊びに来てた時に、ラジオから「ああ青春」が流れてきました。 

ああ、青春は、燃える陽炎か

ああ、青春は、燃える陽炎か・・・ 

いつしか2人で大合唱してました。そいつは普通に成績が悪かったですが、陽炎~かげろう~を”太陽”と、臆面もなく歌ってました。 

「ああ、青春は燃える太陽か~♪」

 俺は訂正せずに、「こいつには青春は太陽なんだな」と思ったら、そいつから照り返しを浴びたような、眩しさを感じました。

このときから、俺の青春が始まったのでした。 

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コメント

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    失礼致します?一気に読んでしまいましたo(*^▽^*)o~♪こんな風に知らない人とコミニケーションできるのっていいですよね?頻繁に更新してる人ってすごいですね~私たちも頑張りましょう★

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    いろいろブログを色々見ていたらたどり着きました。表現のしかたが私と違って、ブログを書くときの参考になりました。時間があったら私のブログにも遊びに来て下さい ☆

  3. SECRET: 0
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    色々ブログ巡りをしていたらたどり着きました。シンプルでうまいブログですね~(゚∇^d)分かりやすいって大切ですよね☆私は最近昔からの夢を叶えた事を書いています。色々と交流できたら嬉しいですね☆

    • ナビスケ
    • 2018年 7月 31日 3:45pm

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    今、俺たちの勲章を見ています。ネットで調べてたらこちらのブログがあり、同いどしの方なので、コメントしたくなってしまいました。
    今見て驚いたのは、オープニングの赤レンガ倉庫!まわりが線路だったんですね。確か当時は船便で貨物を運ぶので、物流感が強かったんですよねえ。
    きれいとか観光の感じなかったなあ。
    オープニング見るたび、グッと胸が締め付けられます。

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