子どものとき、激しい好き嫌い大王で、ほとんど食べなかった俺は、”ホネカワ筋ヱ門”と呼ばれていました。
ほとんどのものが美味しくて、ガチムチ→デブ化の止まらない今では、考えられません。
医者に行く度に、栄養失調ですと言われ、母が、どんな貧乏な家かと思われるから、食べなさい!と、いつも怒られていました。
でも、食べられるものは、ほとんどなかったのでした。また、強情だったのか、無理やりでも食べるということはなく、ついに周りも根負けして、何なら食べるのかと聞かれ、茶碗蒸しとチャルメラと答えたらしく、それ以来、毎日、朝ごはんは茶碗蒸し、昼ごはんはチャルメラでした(笑)
その頃、俺の生まれた町に、中華料理屋がありました。回転する丸テーブルがあって、中華ランタンが下がっているタイプの中華レストランです。
その中で唯一食べれるものがあって、それは広東麺でした。
写真のラーメンです。
母はそれをチャプスイそばと呼んでいました。チャプスイという名前が妙に気に入った俺は、チャプスイが食べたい!とよく言ってました。 その後、ペットの鳥にチャプスイとつけたほどです。
1980年に東京へ出てきた俺は、東京のあまりの物価の高さに、すぐにアルバイトを始めました。
田舎から出てきたくせに、いきなり青山3丁目に、そこがどんなところか知らずに住んでしまったのでした。最寄駅は表参道。物価が高いはずです。
すぐに、青山3丁目から千駄ヶ谷に抜ける道沿いの喫茶店でアルバイトを始めました。芸能人やデザイナーなどがお客様で、面白い話が沢山あるのですが、また今度。
それはともかく、そこでのハチャメチャな働きぶりが認められて、銀座のカフェーで土曜日だけのアルバイトに誘われました。ヘッドハンティングです。
今、ホテルモントレーがあるあたりです。そこでもハチャメチャだったのですが、オーナーは俺のことをとても気に入ってくれて、シトロエンのクラシックカーで、よく連れ出してくれました。
ある時、ラーメンを食わないか?と誘われて、カフェーのすぐ表にある、銀座アスター本店に連れて行ってくれました。
画像は、銀座アスターのHPから。開業は昭和元年。今と同じ銀座1丁目だそうです。
当時は、さすがにこんなではなかったですが、1980年、一般のラーメン価格は250円~300円だったのですが、銀座アスターのアスター麺は1000円でした!
俺からすると、目玉が飛び出る価格です。「もう、いちいち高級志向、やめてほしい!誘わないで!」と、言ってしまいました。
さて、うやうやしく出てきたのは、チャプスイそばー!!!(ここドラえもんでwww)
一気に、アスター麺のファンになってしまいました。うまいか?うまいだろう?と聞かれたので、チャプスイそばと呼んでいた。昔から、ラーメンはこれとチャルメラしか食わないと返したら、うけていましたっけ。
ところで、このチャプスイですが、アメリカに行くと、中華レストランには、やたらと「CHOP SUEY」と書いてあります。多分、八宝菜のようなものだと思うのですが、日本では、この、銀座アスターが広めた言葉なのです。
創業者の矢谷彦七(創業当時38歳)は、とても面白い経歴の持ち主です。
銀座アスターHPに詳細はあるのですが、20歳のころから、ハワイ・サンフランシスコ航路の貨物船に乗っていたんだそうです。その後、牛乳配達から出直し、やがて「矢谷バター」を築地に創業。日本のバターの60%のシェアだったそうですから、非常に先見の明がある方なんですね。
インテリアもサービスも、アメリカン・スタイルの中華料理を売りにしたのだそうです。そして、料理の売り物は、『やはりアメリカの中国料理独特のチャプスイ(中国風シチュー)』とHPに出ています。
業界初めてという、使いまわしの言葉をよく見ますが、昭和元年に、アメリカ式中華「CHOP SUEY」レストランは、実に斬新!、まさに業界初でしょう。
昭和元年、オープン間際の大晦日の売り上げは1000円だそうで、1500円で一戸建ての家が建ったとHPにはありますから、爆発的なヒットですね。物価の違いがあるとはいえ、多分、年収分を1日で稼ぐなんて、一体、何杯のチャプスイを売ったのでしょう???
この中谷氏のエピソードには、ロマンがあります。海を越える男のロマンです。
アメリカと
言う国は、俺の子ども時代もまだ憧れでした。
とはいえ、もう敗戦後でしたから、俺たちの憧れには、何かしらの暗い影がありました。
母がチャプスイと言うと、とてもモダンに聞こえたものです。ペットの鳥の名前もチャプスイでしたが、母が言うと違って聞こえました。
建物は新しくなって、ずいぶん印象が違いますが、高級中華の本家らしい、立派な作りです。
勿論、チャプスイそばを注文しました。
このような高級中華料理店に行くと、俺は必ず広東麺(=チャプスイそば)を注文するのですが、俺のチャプスイそばベスト3は、やはりアスター本店と、あとは麻布十番の登龍、崎陽軒本店です。
料理は、あまり写真を撮る雰囲気ではなかったので、やめました。
銀座アスター本店のアスター麺は、ちゃんと上湯(シャンタン)の味がします。
18歳の時に食べたアスター麺と全く同じ味かと言われると、同じではないです。
もはや昭和のチャプスイではないですから、当然でしょう。進化したと言っておきましょう。
お値段はあれこれ食べたので、2人で10000円也。そばだけだと、1500円くらいかな?俺が最初に食べた時に比べると、1500円という価格は、安くなったと思いました。
銀座アスター 本店
東京都中央区銀座1-8-16 GINZA ASTER BLD
TEL: 03-3563-1011
営業時間: 11:30~22:00(L.O.21:00)
定休日:無休
なんだかかわいい狛羊
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アスター麺は私にとっても思い出の食べ物です!
最初に就職した会社が銀座松坂屋の裏で、銀座アスターの支店が会社のすぐ前にあったんです。
当時、アスター麺の値段は確か1500円位でした。
日常は無理なので、ボーナスの時に限ってランチの時にアスター麺を食べに行ったもんです。
アスター麺=ボーナスの味!
あ~ボーナスの出る生活が懐かしい!
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アメブロ巡回中です!
読ませるブログですね♪
絶対また来ます!
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>香奈さん
ありがとうございます!いつも長いと怒られるのですが、自分でもそう思っていますが、コメント、とても嬉しいです。香奈さんのブログも拝見させてくださいね!